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曲を葬る儀式

いつかものすごく時間ができたらやろう・・・いつか・・

とずっと思っていたことのひとつに、
「過去の自分のテープをデジタル化して残す」というのがありました。

実家に大量のテープ類が残っておりまして
ジェニーが1stアルバムをリリースする前に作っていた
カセットテープのデモテープと
自分がMTRを入手したころ、嬉しくて録音しまくっていた
宅録のマスターテープたち。

もう10年それ以上も、その中身を確認することはせずに
ずっと実家へ送ったまま放置しっぱなしだったのです。

でも、何となくずっと心の片隅にはあって
今でも新しい曲を考えているときや、何でもないときに
ふわっと頭の中に流れてきたり、あんな構成で曲を作ったっけと思い出したり。

それらは思い出ではあるんだけど、
思い出であるゆえに、
どこか美化・・・すごい良いものを作ったという、その時の思いが強く残っていて
それを心の支えにして新しい録音を続けていた部分もあって。。

だから少し、実物をあらためて聴いて自分で再評価するのも
ちょっと怖いかなという気持ちもありました。

自分で言うのも何ですが
多重録音を自分自身で出来るようになった頃の勢いは、本当にすごかった。

当時は週6、7でアルバイトを入れていて、今よりもぜんぜん時間が無かったのに
曲づくりのペースは今の比じゃないし、
(やっぱり時間じゃないんだ、と思う)
常に部屋の片隅にマイクがセットされたMTRが置いてあって
バイトから帰ったら録音、休みの日は録音、
または部屋で音楽を聴いているかレコードを買いにゆくか。

それまでモヤモヤと抱えていた、自分も何かを作りたいという欲望が
一気に爆発して
自分があこがれていたあの人やあのバンドみたいな曲を、自分の手で作り出せる!
という喜びにとにかく満ち溢れていていました。
(実際は、あこがれのあの人やあのバンドとはだいぶ差がありましたが)

それを いまでも
過去の栄光のように、どこか引きずっているのを自覚していて
自分はやろうと思えば、いつでもあの頃のモチベーションに戻れるんじゃないか
と どこか思っているところがありました。
でも実際は、「ああ やらなきゃ」と思ってやっている部分がある。
誰かと何かを約束している訳でもないのに。
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そして
夏の間、あまりにも録音部屋は暑くてどうしようもなくて。
何もしたくない。でも何かしないといけないような気がする。
どうしたら良いのかよくわからなくなっていたときに
とある方からきっかけを頂き、このテープ音源の整理を粛々と進めてゆきました。
ものすごく時間ができたのは、まさに今現在で
今やらなければ、もうやらないに違いない!と 思い立ちました。

バンドのテープは、
自分は歌っているわけでもないし演奏すらしていない(リズムマシンだから)
ので、ごくごく客観的に聴くことができました。
若くてピュアでキラキラしたバンドをプロデュースしているような気分。

でも、なんとなく録音した頃の気持ちはずっと覚えていて
あれも出来るようになった、これも出来るようになった
そしてどんどん上がって行く知名度とバンドのクオリティ。
あれもやりたい、これもやりたい!もっともっと!
という、なんともピュアで上向きな気持ちだったと思います。

そして自分の宅録も、残っているものはデジタル化してゆきました。
全部とっておいてあると思っていたけど、
覚えているけれども残っていないものが結構あってショック。。

そのサウンドには、バンドと同じようなイノセントさがありましたが
当たり前だけど、その頃の自分の曲たち、録音たちは
今の自分の想像を超えていなくって・・・
(だって自分で作った曲だから)

そして、自分は自分の想像を超えたものでないと心を動かされない。。

その事実は特に何という衝撃も全く無く、静かで、、、
そして、その頃の自分を呑み込んだ、今の自分があって
20年前にはもう戻れないんだ というごく当然の結論に至りました。
いや ずっと分かっていたことを、ちゃんとお腹に収められた というのか。

色んな音楽を知れば知るほど、色んなひとに出会えば出会うほど、
自分の進むべき方向がよくわからなくなるし、
曲を作っていても迷うことがどんどん多くなる。

「この先にはいったい何があるんだろう?」
というクエスチョンの答えは、知らないほうが良いのかもしれない、
ということだって、
今は知っている。

どんな曲を作ったら良いのか分からなくなってしまう事さえあるんだ
なんて日が来るという事を
20年前の自分は夢にも思わなかった。
けれども
ふわふわと、自分の周りを彷徨っていた過去の曲たちを
しっかりと捕まえてアーカイヴ化して
そしてハードディスクという墓場へ綺麗に葬りました。

たぶんこれらを聴きなおすことはしないと思います。
その代わり、自分の宅録だけ
ネットで1週間だけフリーダウンロード公開しました。

ありがたいことに予想以上のダウンロードがあって、
これらを録っていたときに、もしこんなツールがあったらどうだったのかな
なんて、ちょっと思ったけれど
人に聴かせるあてもなく、ただただ録音を続けた当時の自分の思いの
行き場・・・墓場ができたような気がします。

ちいさなターニングポイントですが
思いのほか気持ちがすっきりして、新しい曲を綴ってゆけそうな気がします。

by wankorosan | 2017-10-12 13:26 | 音楽とか
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